ホワイトウォーター入門 in ナラヨシ【奈良県吉野川】

奈良吉野川パックラフト川下り体験記

そういう世界があることは、パックラフトを始めてから薄々知ってたんだ。
でも、基本ボッチでチキン野郎の僕は、見て見ぬふりをしながら「やっぱ穏やかな清流は最高だぜ!」と、その世界に背を向けながら生きてきた。

そう、その世界とは・・・

「ホワイトウォーター」。

世に言う、「激流」ってやつだ。

今回、その激流の入門ステージとして、関西カヤッカーの聖地とも言われる「奈良県吉野川」、通称「ナラヨシ」にチャレンジしてきたので、その模様をサクッと紹介しよう。

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広がる世界

まさかこの僕が、大勢のカヤッカーの人たちと一緒に、激流を下るとは思ってもみなかった。
今回のホワイトウォーターを体験して、自分の世界がブワーッと広がったのだ。

そのきっかけを作ってくれた恩人がこの人、U山さんだ。↓

吉野川パックラフト

チェコから個人輸入したという希少パックラフト「Packraft ROBfin M Sporty eco」を自在に操るU山さん。左の人物は僕と同い年のイケメンカヤッカーS本さん。

今年の6月にTwitterなるものを始めたところ、TwitterでU山さんに声をかけてもらい、ナラヨシに誘っていただいたのだ。

U山さんは、御年69歳のカヤッカーで、ナラヨシの他に保津川、高見川、関西激流の代名詞・北山川、長良川などの激流を攻めまくっている、バイタリティ溢れる人生の先輩だ。

69歳にして、

「みっちーさん、ロールの練習をしましょう!」
「沈したときの再乗艇の練習をしましょう!」
「激流の瀬でサーフィンの練習をしましょう!」

と、素人の僕を追い込んでくる(笑)。

今回、U山さんのおかげでホワイトウォーターという世界が広がったわけだが、69歳という年齢にもかかわらず、激流にチャレンジし続けるバイタリティを見て、年齢の壁というものがガラガラと崩れ、目の前に新しい世界が広がったのだ。

僕はまだ52歳の若造。ジジイだなんて、自虐している場合ではないのである!

ということで、新しい世界を見せてくれたU山さんには、感謝しかない。

関西カヤッカーの聖地「ナラヨシ」

僕は紀の川の近くに住んでいる。
紀の川は、奈良の大台ヶ原を源流とし、奈良県内では「吉野川」、和歌山県に入ると「紀の川」と名前が変わる珍しい川だ。

僕のパックラフトデビュー戦は紀の川だったわけだが、流れが穏やかで1級程度の瀬しかない。
しかし、上流の「吉野川」になると様相が一変して、急流の瀬が続く川になるのだ。

その激流を求めて、関西中の猛者どもが集結するのが吉野川。
関西カヤッカーの聖地として「ナラヨシ」の名称で親しまれている。
激流で有名な徳島の吉野川(大歩危・小歩危のあるところ)と名前が同じで紛らわしいので、奈良県の吉野川、略して「ナラヨシ」というわけだ。

 

・・・・しかしね。
そんな猛者が集まる場所に、僕のような素人パックラフターがのこのこ参戦してもいいんだろうか?
絶対白い目で見られるぞ。

と思いつつ、ゴール地点の「芝崎河川公園」へ到着。

芝崎河川公園

写真じゃ、瀬の大きさが伝わらないのが残念・・・

ここは「芝崎の奇岩」と言って、大きい岩と川の景観が素敵で、観光客も多く訪れるという。
川を見ると、大きな瀬がゴウゴウ言ってるじゃないの!

この瀬は「芝崎の瀬」と呼ばれてて、今回のダウンリバーのクライマックスを飾るにふさわしい大きい瀬だ。
観光客も、芝崎の瀬を下ってくるカヤックたちを固唾を飲んで見守るという・・・

そんな衆人注目の中で、無様に沈でもしようもんなら、ショックで二度とパックラフトに乗れなくなるかもしれない。

と、すでに緊張マックスの状態で、今回ご一緒させていただくカヤッカーさん達と初めての挨拶。
今回(9月22日)は、10名のベテランカヤッカーさん達の後をチョコチョコ付いていく段取りだ。

長良川の話題で盛り上がるカヤッカーさん達。
同じ川下りを生業としているのに、僕とは違う世界に住む鬼たちのようだ・・・
(実際は皆さん、すごく親しみやすく、優しくていい人ばっかりでした)

猛者たちの宴

ここからスタート地点の、通称「コンクリ」と呼ばれる場所まで車で移動。
ソロだと自転車でヒーコラ言いながらの移動になるが、大人数だとスタートまでの移動がめっちゃ楽なのだ。

さて、「コンクリ」に着くと、いきなり大きめの瀬があるじゃないの!
でも大丈夫。素人パックラフターとはいえ、大塔川の激流の経験もあるし、テクニカルな瀬は、和田川・赤木川でも経験がある。そこそこ経験を積んでいる自負はあるのだ!

ということで、この瀬は難なくクリア。

カヤック

初めての大人数のダウンリバーに、こわばった顔で写真に写る。

この日のメンバーは、みんなベテラン激流カヤッカーばかり。
なので、パックラフトは僕とU山さんの2人だけ。U山さんに聞いたところ、僕がパックラフトなので、付き合ってくれたのだとか。優しい先輩だ。
(U山さんはパックラフトの他にも数艇のカヤックを所有しているのだ。羨ましい。)

なんていうんだろう、プレイボート?
とにかく、トロ場でもクルクル回ったり、ロデオのように乗りこなしたり、ロールをしたり。
装備からして、僕のような「ちょっと気軽に川下ってますんで」という舐めた格好じゃなく、本気のパドリングジャケットに身を包み、鼻クリップをしてたり。(ロール時に鼻に水が入らないように)

まさに猛者たちの宴が繰り広げられたのだ。

そんな中にいきなり放り込まれた僕は、生まれたての小鹿のようにプルプル震えながら、「す、すごいっす」と小声で呟くのが精一杯なのだった。

奈良県吉野川のカヤッカーさんたち

みなさん本気のカヤッカーさんたち。猛獣の中に放り込まれた小ヤギの気分だ。

聞くと、毎週ナラヨシに通っている人もいる。
こんな世界が自宅から40分程度の場所にあったなんて、びっくり仰天玉手箱なのだ。

何より驚かされたのは、カヤッカーの人たちの人数。
僕が参加したグループ以外にも、何組もグループがあって、20人〜30人くらいがナラヨシを下っているのだ。

僕は普段は南紀や熊野の川を一人で下っていて、その途中誰にも会わないことの方が多い。
なので、「ダウンリバーってのは、よっぽど人気がないんだな」と思っていた。
ところがここでは、毎週カヤックの猛者たちが宴を繰り広げているというじゃないの。

こんな世界があったとは、びっくり仰天玉手箱なのだ。

吉野川の休憩ポイント

上の写真は、お昼の休憩風景。
僕のソロツーリングのお昼休憩は、焚き火をしたり、お湯を沸かしてラーメンを食べたり、昼寝をしたり、川に潜って遊ぶスタイルなのだが、ここの猛者たちはさくっとパンなどの軽食をかじるだけで、ひたすらロールやスポットプレイ、サーフィンなどの「練習」に邁進しているのだ。

これにはかなり面食らったが、U山さんと一緒にしたサーフィン練習はめっちゃ楽しかった!
そもそも、川を遡上して瀬のところまで行き、瀬に乗るという遊びは初めての経験。
52歳で世間を知ったような顔をしていたが、まだまだ楽しい未知の世界があるんだなぁ。

ホワイトウォーター事始め

そういうわけで、ベテランカヤッカーさんたちとのダウンリバー。
ナラヨシには「S字の瀬」「芝崎の瀬」「アヒルの瀬」などと名付けられた大きな瀬がある。
その他にもたくさんの大きめの瀬があって、ホワイトウォーター初心者の僕にはどれも恐怖でしかない(笑)。

ただ安心なのは、ベテランのみなさんが「この瀬はちょっと右側から入って・・・」などとルートを教えてくれ、先に漕いで見本を見せてくれること。
僕はその後についていくという、お気楽スタイルでの激流チャレンジなのだ。

とはいえ、初めての激流を漕ぐということで、緊張しっぱなしの52歳オヤジ。

ゴウゴウと渦巻く、真っ白な瀬に突っ込んでいく時の気持ちと言ったらもう・・・・・

・・・・・

・・・

・・

楽しい〜〜〜〜〜!!!!!

のだ!

ナラヨシの瀬を漕ぐパックラフト

顔はこわばってるけど、結構楽しんでる。

激流を漕いでいる時の状態を言葉にするのは難しいんだけど、あえて言葉で表現すると・・・

「うわっ、ウヒョォーーーーー! ガツン、ザッバーーーン! グワングワンッ!!」

というのが適切だろう。

そりゃあ瀬に突っ込むときは怖いよ。
でも覚悟を決めて突入して、無事に瀬を乗り越えた時の快感と充実感たるや!

もちろんこんなことを1人でするのは危険極まりない。
でも周りにはベテランの猛者たちがいるので、安心感が半端ないのだ。
もし沈して危ない状況になっても、誰かが助けてくれるからね。

激流をパックラフトで

奈良吉野川パックラフト

激流は楽しい

テンションが上がってきて、ニヤつきながら激流を下る52歳オヤジ。

「S字の瀬」「芝崎の瀬」と、大きな瀬にチャレンジしたけど、幸いにも「沈」しなかった。
パックラフトは意外に安定しているので、そのおかげもあるんだろう。

奈良県吉野川パックラフト

楽しいとはいえ、緊張の連続で疲れている。穏やかな流れのところでは、魂が抜けたような顔で下る52歳オヤジ。

今までの僕はソロツーリングで穏やかな清流ばかりだったのだが、ホワイトウォーターという世界も体験し、パックラフトの楽しみ方が倍増したように思う。

まあ、まだ上の世界には長良川や大歩危・小歩危、北山川などがあると思うんだけど。(と、偉そうに言ってみる 笑)

ナラヨシ、再出撃!

9月22日にナラヨシ初体験をした僕は、ホワイトウォーターの楽しさに目覚めてしまった。
何より、自宅から40分程度で行けるという気軽さも気に入った。

ということで、10月18日に再びU山さんに誘っていただき、2回目のナラヨシを体験してきた。

この日は前回のメンバーと違い、ほとんどパックラフトの人たちで、僕と同じ匂いがプンプンするキャンパーの皆さん達だった。

奈良吉野川

この日も10名程のメンバー。パックラフト軍団だ。うち1人はカヤックを自在に操る超ベテランのAさん。

前回はオドオドしっぱなしだったけど、今回は少しは余裕を持てたかな。
今回もラッキーなことに「沈」なし。たまたまビギナーズラックだったということだろうね。
慣れた頃には絶対に沈すると思うので、その時はこのブログでも大々的にレポートしようと思ってる 笑。

吉野川の瀬

U山さんが撮ってくれた動画もちょこっとどうぞ。

奈良吉野川(ナラヨシ)パックラフト

実はこの日は、スマホを車に置き忘れてきたので写真は以上!(相変わらずのチキン脳)

今回掲載している写真は、ほとんどU山さんが撮ってくれたもの。つくづく、素敵なパイセンなのだ。

遊び方は人それぞれでいいじゃないの?川が好きなら。

ということで、奈良県吉野川激流レポートでした。
本気の激流派からみると、ナラヨシなんて可愛いもんだろうが、僕にはスリルのあるホワイトウォーター体験だった。

今回の体験で、ダウンリバーには2つのタイプがあると分かった。

  • 清流をのんびり下りながら川旅を楽しむ派
  • 激流をスポーツとして楽しむ派

僕は基本、前者の「のんびり川旅派」なので、川下りの途中で焚き火をしたり、野営をしたり、川に潜ったりが好きなタイプだ。

後者は、激流をカヤックで下ることを、スポーツとして楽しむパターン。いろんな技を試したり、瀬でスポットプレイやサーフィンもして楽しむ。

今回、激流スポーツの川下りを体験したわけだが、カヤックやパックラフトの腕を上げようと思ったら、絶対に経験しておくべきだと思った。
パドリングの腕を上げることは、一人での川旅をより安全にすることにも繋がるから。

それと、もう一つ。
パックラフトは川旅にも激流スポーツにも使えて超便利!だということ。
テントなどの旅道具を積んで川旅をすることもできるし、今回のような激流もある程度は楽しむことができる。
すごく優秀なフネだということを再認識した。
(もちろん、ロールやスポットプレイはカヤックやプレイボートに敵わないけど)

川旅派とスポーツ派、どちらの遊び方が良いとかは関係なく、人それぞれの楽しみ方があっていいと思う。
川が好きで、カヤックやパックラフトが好きなら。

最後に

最後に気づいたこと。

僕のパックラフトはオープンデッキなので、瀬を越えるたびに大量の水が艇内に入って水船になってしまった。おかげで、毎回パックラフトをひっくり返して水抜きをする羽目に。

激流を楽しむなら、入った水を自動排水してくれるセルフベイラーの方が絶対便利だ。
これからパックラフトを買う人は、参考にしてもらいたい。

 

それから、ナラヨシに集いし猛者達は、冬の間もずっと川下りを楽しむという。
寒さに我慢強いわけではなく、フルドライスーツを着用しているのだ。

僕はまだフルドライスーツを持っていないので、いつも冬の時期は冬眠していたんだけど、こうなったらフルドライスーツが欲しくなったきた。
でも、10万円くらいするんだよな。

ヤバイ、パックラフト沼にハマりそうだわ・・・
川を下っているのに、沼にハマるという・・・・

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