五十肩が往く、秋の和田川・赤木川根性ツーリング【後編】

落ち鮎の簗川下り体験記

五十肩(Go Ju Kata)の痛みに耐えながらも、根性パドリングで清流・和田川を下る中高年ファイター。
後編ではいよいよ、和田川から赤木川へ。秋の清流を巡る旅も、ついに後半戦に突入だ。

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パックラフトってやっぱいいよね!って話

なんだか前編は、後輩にフラれた話や五十肩の話、某2F先生の話など、このブログがパックラフトでの川情報を扱っていることを忘れてしまうような内容だった。

ここで基本に立ち返って、たまには真面目に、今回の川旅で感じたパックラフトの良さを再認識してみよう。

パックラフトの最大の特徴は、何と言っても「手軽さ」だと思う。

わずか3kgに満たない船体だから、気軽に膨らませて川に行ける。この軽さはすごいメリットで、浅瀬に引っかかって川を歩いたり(ライニングダウン)、障害物を避けるのにパックラフトを担いで河原を歩いたり(ポーテージ)するのがすごく楽なのだ。

今回も赤木川でたくさんの障害物があり(後述)、ポーテージを余儀なくされたが、ヒョイと持ち上げて移動できるので、めちゃくちゃ楽だったのだ。

さらに空気のチューブで守られている感があって、安定しているのもメリットだ。

普通のカヤックだと沈する(転覆のことね)だろうって瀬も、意外と安定して通過してしまう。
とはいえ、きつい瀬になると沈は免れないんだけど。
今回の川旅でも、赤木川にちょいきつい瀬があって、沈しかけたしね。(というか、ほとんど水没して水船状態になった)
空気で膨らませているので、船体全体が浮力体のようなもんなのだ。

今回感じた最大のメリットは、喫水の浅さだ。

今回下った和田川や、古座川の支流・小川などは超清流なんだが、水量が少ないのが玉に瑕。
喫水の深いカヤックやファルトボートでは、川底を擦って進めない場所もたくさんある。
でもパックラフトは喫水が浅いので、水深20cmほどのところでも底を擦らずにスイーっと進めるのだ。

和田川

水深20cmほどの浅さでもへっちゃら。すぐ近くに川底があるのは新鮮な風景だ。

動画で見る方がわかりやすいかな。

和田川 水深20cm

喫水が浅いと、風の影響を受けやすかったり、スピードが出なかったりというデメリットはあるけど、上流部の川を下るには、とても適したフネだと思うのだ。

川の水と焚き火でラーメン!

気に入った河原に上陸して、ランチタイムだ。
漕いでいるときは五十肩の痛みを忘れていたが、上陸した途端に激痛に見舞われてしまった。
しかしそんなことはどうでもいい!

今回のリバーツーリングは、アマゾンでポチった新兵器を試すのも一つの目的だったのだ。
その新兵器とは「携帯浄水器」と「中華製格安ウッドストーブ」。

この2つでお湯を沸かし、ラーメンを作るのだ。
それぞれの道具のレビューは、また後日詳しく別記事に書こうと思うので、さらっと紹介してみよう。

携帯浄水器、カタダインの「BeFree」で和田川の清流を。

今回持ってきたのがこれ、携帯浄水器だ。スイスのカタダインって会社の「BeFree」ってやつ。
携帯浄水器の世界では「ソーヤミニ」が有名なんだが、評判がすごく良かった「BeFree」にした。

携帯浄水器ビーフリー

今まではペットボトルの水を買っていたが、これからは必要ないかも。今回も水は買ってこなかった。
和田川の清流だから、そのまま飲めるレベルだとは思うが、やっぱ浄水器があると安心だ。

浄水器に川の水を入れる

使い方は簡単。水を汲んでフィルター付きのキャップを閉めるだけ。
あとはゴクゴク飲むべし!和田川の水は冷たくて美味しかった!

BeFree浄水器

中華製格安ウッドストーブで火起こし

アマゾンで買った中華製格安ウッドストーブがこれだ。↓お値段なんと1980円!
中華製ウッドストーブ

この形のウッドストーブの元祖は「ソロストーブ」というもので、なんと1万超えする高級品なのだ。
そんな高いものは手が出ないので、クリソツな模倣品(要はニセモノ)を激安で買ったわけ。

でも激安、中華製と侮るなかれ。
河原にあった小枝を適当にぶち込んで火を付けると、なかなかの火力で燃えてくれたのだ。

ウッドストーブで湯沸かし

カッコイイアウトドア系のYouTuberのような、ファイヤースターターを使っての着火ではない。
チャッカマンで火をつけるところが、貧乏中高年パックラフターの僕らしくて良い(笑)。

 

で、結局こんな大げさなことをやって、やったことと言えば「お湯を沸かしただけ」(笑)

それでもいいんだ!男にはロマンが必要なんだ!!
和田川の清流と焚き火で作ったラーメンは、男のロマンの味がしたのだ。(実際はカレーラーメンだったので、カレー味だったけど)

食後はいつものように河原に寝そべり、お昼寝タイムだ。
これが楽しみで川下りをしてるっていう面もある。

清流と美人は三日で飽きる!?

「美人は三日で飽きる」という言葉がある。
僕からすれば、なんと贅沢なことを言ってるんだ!と思うのだが、なんとなくその気持ちが分かってきた。

というのも、和田川、赤木川、大塔川、小川などの超清流ばっかりを下っていると、だんだん清流に慣れてきて、「キレイなのが当たり前」状態になってしまうのだ。

最初に和田川・赤木川を下った時は、「この世にこんなキレイな川があるのか!」と感動に打ち震え、パックラフトの上で顔を赤らめながら、ため息ばっかりついていた。

赤木川をパックラフトで川下り。赤木ブルーの幻想的世界。
和歌山の清流で絶対に欠かせない川がある。 それは赤木川、大塔川、小川の3大清流。 大塔川の川下り記録は先日公開したので、ぜひ見てね。 さて、大塔川より前に、実は2019年5月6日に和田川と赤木川を下っている。 そ...

今回も、前回下った時と同じキレイさだったのだが、どうも最初に下った時のような感動がない。
それより、ちょっと激しめの瀬を越える方が楽しいと思うようになってしまった。

実際、今回の和田川・赤木川は前回よりも瀬が激しめになっていて、急な落ち込みがあったりしてスリルのある場所もあった。

そんなところに喜びを見出すとは、「この俺もなかなかのモンになってきたのか?」と勘違いしてしまうが、人間というのは欲深いイキモノなのだ。

赤木川の清流

相変わらずの超清流。「和田・赤木ブルー」健在だ。

赤木川

深いところでも川底までスッケスケ。これが当たり前になるとは、なんと贅沢なことか。

焚き火でお湯を沸かす

リバーサイドカフェ(休憩してる河原)から望む、超清流。

この贅沢な状態が当たり前にならないように、たまには汚いドブ川を下らないといけない。
そうすれば、和田川・赤木川の奇跡的なキレイさを再認識することだろう。

鮎釣り師との邂逅

さて、お昼休憩を切り上げて再び川の上へ。

和田川から赤木川へとステージは移っていく。五十肩に負けず、調子よく漕いでいると眼前に釣り師の姿が見えるではないか!?

鮎釣り師

小さすぎて分からないだろうが、中央寄りのちょっと左上に釣り師の姿が。

「あれ、この時期って鮎は終わってるんじゃ・・・?」

と思っていたが、完全な自分の勘違い。
たまたま河原にいた地元の漁師さんと話をしたところ、
「鮎漁?この川はまだまだこれからやで〜^^」とのこと。
赤木川は、12月末まで落ち鮎漁の時期だったのだ。

実は僕は、鮎師との出会いは今回が初めてなのだ。
カヌー関連の本やブログなどで得た情報では、鮎釣り師というのは、カヌーを見つけると

「あっち行け!バカヤロー!」

と罵倒したり、石を投げたりするそうじゃないっすか。

そういうのを聞いてるから、もうビビりまくり。
釣り師がいるかなり上流から「こっちに気づいてね〜」と視界に入るように近づき、それから

「すみませ〜ん!ちょっとカヌー通っても良いですか〜!!」

と大声を張り上げる。
こんな時は、祭りの伊勢音頭で鍛えた喉がモノを言うのだ。

そこで石でも投げられたら速攻で反撃するために、こちらもフネの中でファイティングポーズをとる。
何しろこちらは、剛柔流空手の型「五十肩(Go Ju Kata)」の使い手なのだ。負けるわけにはいかない!

赤木川の清流に訪れる、一触即発の緊迫した空気。張り詰めたその空気を切り裂くように、鮎釣り師が声をあげた!

「ああ、ええよ〜。」

と、竿を上げて通してくれるではないか!

「あれ、石は?」「あれ、罵倒の言葉は?」

とこっちがポカーンとするくらいに、皆とても良い人だったのだ。
「ありがとー!」とお礼を言うと、キャンディーズのような満面の「微笑がえし」を送ってくれた。

今回の川旅では、7、8人の鮎釣り師と出会ったが、みんな良い人ばかりで気持ちよく竿を上げてくれたのだ。

「良い川には、良い釣り師がいる」

と聞いたことがあるが、まさにそうだった。

釣り師の方から見れば、瀬で鮎釣りをしている時に、音もなく突然カヌーが視界に入ってスーッと通られると、びっくりするし、腹も立つだろう。瀬の中にいれば、瀬の音で外界の音が聞きづらくなるのだ。

だから、鮎釣り師がいるかなり上流から、大声で声をかけるのが大事なんじゃないかな、と思う。
お互いに川で遊ぶもの同士なので、お互いの立場を分かって譲り合ってれば、トラブルは少なくなるんじゃないかな〜。

落ち鮎漁の仕掛けを回避せよ!

落ち鮎漁が始まると、川の要所要所に仕掛けが設置される。

川底に竹の杭を30cm〜50cmくらいの間隔で1列に刺して、笹を立てた仕掛けを両岸に渡すというものだ。
仕掛けに戸惑ったアユが群れたところへ網をかける。

こんな仕掛けだ↓。落ち鮎の簗

その仕掛け、僕らは小さい頃から「簗(やな)」と言ってたんだが、正確な呼び名かどうかは分からない。
長良川なんかでは、簗といえば、また違う形のものなので。

とにかくこの時期の赤木川は、こんな仕掛けが7〜8箇所あるのだ。
最初の2つは、竹杭が低いところを狙ってパックラフトでそのまま通った。杭の頭が、パックラフトの底を擦ってヒヤヒヤした。
その他の簗は竹杭がしっかり川面に出ていて、そのままだと通れないのだ。

こんなところにパックラフトで突っ込んでいくと、かなり危険だ。

だからこの仕掛け(簗)に出会うたびにパックラフトを担いで河原をポーテージ。
こんな時に、軽いパックラフトは有利なのだ。

 

簗のところで地元のじいちゃん(漁師)がいたので、しばし談笑。

「この先に面白い瀬があるで〜。行ってみ!オモロイから。」

と、貴重な情報もいただいた。
川に生きる人たちは、決して「川は危ないから近づいちゃいけません」とは言わない。川の面白さと怖さを誰よりも分かっているのだ。面白いのも怖いのも、全て自己責任。本当の大人の世界だ。
その上で「オモロイで〜」と言う。なんだか話していて気持ちいいのだ。

このじいちゃん、めちゃくちゃ良い人で、パックラフトを一緒に持ってくれ、ポーテージを手伝ってくれた。
じいちゃんも、パックラフトの軽さに驚いていた。

落ち鮎の簗

「ササ立て漁」とも言うらしい。川の中にササを立てて並べ、風で揺れるササの葉を警戒して右往左往しているアユを目掛けて、網を投げるという漁法だ。

落ち鮎の簗

一見普通の瀬に見えるが、実は川底に竹の杭を打ち込んである。パックラフトで突っ込むとかなり危険。

ゴール。そして苦行の始まり。

そしてついに、今回のリバーツーリングもフィナーレを迎えることになった。

赤木川ゴール地点

この橋が見えてきたら、ゴール地点だ。

今回は五十肩という重荷を背負ってのリバーツーリングだったが、とても充実した1日になった。
和田川・赤木川は相変わらずの清流っぷりを見せてくれ、そこで遊ぶ人々(鮎漁師)や暮らす人(地元のじいちゃん)との触れ合いもあり、ますますこの川が好きになったのだ。

さて、到着地点でパックラフトを畳んで帰り支度をしていると、また五十肩の激痛がぶり返してきた。

苦痛に顔をしかめながら、デポしていた自転車を回収。
さてここからが苦行の始まり。約30分かけてスタート地点へ自転車で戻るのだ。

帰りは自転車で

バックパックにパックラフトとライフジャケットを装着。パドルをぶっ刺すとご覧のようにチンドン屋スタイルの完成だ。

足はパンパン、肩は激痛。
上り坂が多いので、ゼーゼーハーハー言いながら自転車を漕ぐ。
その時点で、和田川・赤木川を下った素敵な思い出はかき消され、「もう2度と来るもんか!」という悪魔の囁きが頭の中をこだました。

しかし毎度毎度、川下り記事の後はこの苦行の話題(笑)で申し訳ない。
だって、しんどいんだもの。皆に大変さをわかって欲しんだもの。

そんなこんなでスタート地点にやっと到着。
肩の激痛に耐えながらの和田川・赤木川リバーツーリングでした。

最後に

「清流は三日で飽きる」「もう2度と来るもんか」と言いながら、今回の川旅でますます和田川・赤木川が好きになった。
清流度、景観、秘境感、どれをとっても最高の川だ。

しかし今回も思ったのだが、川下りを楽しんでいるのが僕一人だということ。
まじで、カヌーイストには一人も出会わないのだ。
古座川だと何人かカヌーを漕いでいる人に会うのだが、和田川・赤木川はそれだけマイナーってことか。
というか、川下り自体がマイナーな遊びなんだろな。

たまには超美人のカヌーイストと出会って、「一緒に下らない?」なんて事になったら嬉しいんだけどな〜。
白石麻衣のような超美人と、パックラフトでシンクロニシティしてみたいもんだ。

でも人気になって人がいっぱいになるのも、秘境感がなくて嫌だし。
次はムハンマドOと来て、和田川をアラビアンな雰囲気に染めてみよう。

以上、Go Ju Kataの使い手、みっちーでした。

 

追記

10月9日現在、まだGo Ju Kataの痛みが・・・。やっぱ無理したらアカンわ・・・・

前編はこちら!

コメント

  1. さすプー より:

     初めてお便りします。私も古いパックラフトを所有していまして、昨年は熊野川を下り
    ました。背中に背負って始発のバスで上流にあがりました。ブログにあるように、ウォーター
    ジェット船が行き交うと波立って大変でしたが、その日はダムの放流があり、志度まで3時間
    半ぐらいで、ほとんど漕ぐことなく下ることができました。
     過去に古座川でも、同じように折り畳み自転車をデポし、極力、バスやタクシーを使うこと
    なく単独で下ることもありました。
     支流の清流、透明感などいいですね。関西でも大阪だと、近くの木津川や宇治川で使用することもあります。
     私のパックラフトは、旧型ですが、まだ安かったときにサニーエモーションさんで購入
    しました。安定性がよいので、子どもをのせてぷかぷかすることもあります。
     支流の情報が見れて、参考になります。今後も気を付けて新たなフィールドを開拓して
    いってください。楽しみにしています。

    • みっちーみっちー より:

      さすぷーさん、コメントありがとうございます。
      こんなふざけた記事にコメントを下さるなんて、恐縮至極です。

      熊野川に古座川、僕と同じようなスタイルで下ってるんですね!
      瀞峡から志古まで3時間半とは、超特急じゃないですか(笑)
      木津川や宇治川は下ったことないんですが、一度チャレンジしたいと思っています。

      パックラフトは背中に背負って気軽に川へ行けるので、ソロで支流を下るのには最適だと思います。
      熊野川や古座川で、青いアルパカラフトに乗ってヨタヨタしてるおっさんを見かけたら、是非声をかけてください!
      基本ソロなんで、寂しいんです 笑。
      このブログがご縁で、一緒に川下りできたら嬉しいですね〜。

      これからもよろしくお願いします。

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