真夏の和田川・赤木川をリバーツーリング。オヤジのワクワク夏休み。【後編】

和田川でテント泊川下り体験記

前半は和田川の美しさを中心にお届けしたわけだが、いつものようなハプニングがあるわけでもなく、比較的穏やかな内容だった。
本来、紀行文というのはかくあるべきなのだ。

もっと硬質で、行間から男の浪漫が滲み出るような文章を書かねばなるまい。
そんなことを考えながら、後編を書き進めていこうと思う。

では、行ってみよう!

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刮目して見よ!これが真のオシャレキャンプだ!!

空前のキャンプブームだが、世の中のキャンプには2つの種類があるという。
曰く、

  • おしゃれなキャンプ
  • ダサいキャンプ

おしゃれなキャンプは、最新でオシャレなギア(道具のこと)をたくさん駆使し、料理も凝って、とにかくオシャレにキャンプを楽しむこと。

逆にダサいキャンプは、ギアを最小限にして、料理も凝らずに、ひたすらボーッと時間を過ごすキャンプらしい。

この定義づけをした某ブログが、SNSで大炎上しているのを横目に見つつ、

オシャレキャンプね(笑)
大体、オシャレかどうかなんて、世の中が決めるもんじゃない。
自分の価値観や生き様をどう表現するか?
その孤高のクリエイティビティが結実したのが「オシャレ」なキャンプじゃないのか?
やってやろうじゃないか!
刮目して見よ!これが本物のオシャレキャンプだ!!

と、あらん限りの贅を尽くしたマイ・ファッショナブル・キャンピング・スタイル(M・F・C・S)がこれだ!

和田川キャンプ

・・・・・・

・・・・

・・・

ダサいキャンプじゃねーか!!

テントは地味な中華製。
8月の真夏だというのにタープもない、椅子すら流木で代用している。
パッキングに使った袋は、全て100均のもの。
使いもしない大きめのガスランタンを持ってきて無駄に荷物を増やしているという、見事に洗練されたプランニング。

和田川の河原でキャンプ

もう何年も、この河原に住み着いている人のようだ・・・。濡れたウエアの干し方も、河原生活の年季を感じさせ、哀愁を漂わせている

だって仕方ないのよ。小さなパックラフトに積み込める荷物の量なんて、たかが知れてるんだから。
オシャレなギア満載なんて出来ないのよ。

そんなわけで、これを「キャンプ」だというと、世のオシャレキャンパーたちから猛反発を食うと思うので、「野営」と呼ぶことにする。

何はともあれ、焚き火だよね

さて、「野営」の最大の楽しみといえば焚き火だ。
これが楽しみでキャンプをしている人も多い。僕も野営で一番好きなのが焚き火なのだ。

今回の野営地は、薪になる流木がめちゃくちゃたくさんあった。

たくさんの流木

椅子にできる太めの流木もバッチリゲットだぜ!

これは今までのリバーツーリングで得た知識なのだが、川が急カーブしている河原には、流木が多いのだ。
増水時に流れてきた木が、急カーブの河原に乗り上げるんだろうね。

和田川の野営地

川が急カーブしてる河原には、流木が多い。しかし、どの角度から撮っても、川に住んでいる人感を拭い去ることができない。

対岸には、前から目をつけてあった松の木がたくさんある。その根本には松ぼっくりがたくさん。
松ぼっくりは「天然の着火剤」と言われ、脂が多くて火がつきやすいのだ。
(確か、『ゆるキャン△』でも言ってたよね)

焚き火

今回の焚き火は、ロングファイヤー型というスタイルで。 燃費が良くて料理もしやすいのだ。最近は、ファイヤースターターを使って着火することが多い。

バトニング? フェザースティック?
そんなめんどくさいことは一切しない(笑)。男は黙って、流木をそのままファイヤーにインするのだ。

さあ、ひとりきりの宴を始めようじゃないか

さて、夜営の準備も整ったことだし、ひとり宴会の開始だ。
酒類は、あらかじめ天然の冷蔵庫に冷やしておいた。

川でお酒を冷やす

真夏だし、流れがあまりないので、大して冷えないんだけどね(笑)。

乾杯

52歳の夏休みに、乾杯。

ここでオシャレキャンパーなら、アヒージョとか、ステーキとか、パエリアとか、いろんなオシャレ飯を作るんだろうが、僕は「ダサい野営マン」なので、そんなことはしない。
というか、出来ない(泣)。

メスティンで飯を炊き、焚き火で肉を焼き、肉を飯に乗っける!
以上!

恐ろしくシンプル・・・

「何も足さない、何も引かない。」という名キャッチコピーがあるが、僕の場合は

「何もない」

かも知れない・・・。

まあね、それでも美味しいのよ。河原で食うメシは!
お酒も進む進む。

焚き火とお酒は、野営マンの浪漫なのだ。

キャンプ風景

夜の帳が降りてきて、雰囲気が出てきた。

焚き火の炎

焚き火の灯り以外は何もない。静かで豊かな時間が過ぎてゆく。

今、空前のキャンプブームで、キャンプ場はすごい賑わいだそうな。
でもこの河原には、僕以外人っ子ひとりいない。完全なボッチだ。

こういうのに慣れてしまうと、人が多いキャンプ場は受け付けない体質になってしまうだろうな。
聞こえるのは、川のせせらぎと獣の鳴き声(たぶん鹿)のみ。

 

静かな、静かな、それでいて満ち足りた夜なのである。

 

さて、ここで大事な話がある。

上の写真を見て、「うわぁ、焚き火ステキ!」と思った人もいるだろう。
でも、この日は8月9日なのだ。
正直に言うよ・・・

 

アッツイ(熱い)!!

 

焚き火の近くにいると、汗がダラダラと止まらないのだ。
SNSを見ると、真夏に焚き火を楽しんでいるキャンパーさんが多いんだが、もうこれね、完全なるマゾプレイじゃないの?

焚き火は確かに浪漫だ。キャンプの雰囲気を盛り上げる1番のアイテムだ。
でもね、真夏なんだから焚火なんてしなくてもいいんじゃね?
料理はガス缶使えばいいし、灯りはランタンでいいよね?
焚き火の必然性って、真夏のキャンプには無いよね?

と思うのだが、それよりも浪漫が勝ってしまうのが、野営マン(キャンパー)の悲しい性なのだ。

真夏にSNSで焚き火写真をあげている人には、実はその裏で相当なやせ我慢をしているということを知って、心を込めて「いいね」を押すようにしようじゃないか。

河原で焚き火

それでもやっぱ、焚き火は落ち着くよね。

ということで、酒が進む進む!
この日飲んだのは、ビール6本、チューハイ2本、ウイスキー小瓶1本。
ひとりだと、飲むしかないのよね(笑)。
おかげで翌朝、ちょっと二日酔いだったわ。

で、思ったわけよ。
パックラフトの川旅に、これだけの酒が必要なのか?って。
思い返せば、家を出発してすぐに24時間営業のスーパーに駆け込み、これだけの酒を買ってバックパックにねじ込んだわけだが、

さすが、1泊分の荷物は重いな・・・。パックラフトに載せて大丈夫だろうか?

と心配したのだが、その重量の大半は酒じゃねーか!

おかげでここまで大変な思いをしてきたのだ。
浅瀬に引っ掛かったときは、酒のせいで重量増し増しのバックパックを担ぎ、ヒーヒー言いながら下ってきた。

パックラフトも、「え、ワイ、こんな重いバックパックを乗っけていくの?」と面食らっていたことだろう。すべては呑兵衛のご主人様のせいなのだ。

ナイSUガイとの邂逅

今回の川旅は、心配していた悪友・チャイナスキーS(この記事参照)からの恐怖動画の送信もなく、快適なテント泊だった。
軽い二日酔いで目覚めた僕は、川で顔を洗い、ある人を待っていた。

「え?一人旅じゃなかったの?」と思った人もいるだろう。
または
「さては、ひとり川旅に見せかけた不倫旅行だったのか?」
とも。

実はTwitterで知り合ったSUさんという人が、同じ和田川を下っていたのだ。
彼からの情報によると、僕の野営地よりも上流で野営をしているらしく、朝早く下ってきて挨拶をしてくれるというのだ。

川上を見ると、グリーンのパックラフトがやってくる。
緊張の初対面なのだが、めっちゃいい人で良かった!
息子ほどの歳の人と川旅を通じて知り合って、こうして語り合うことができるってのは、最高だ。

僕のオシャレ野営地でしばし語り合い、SUさんを見送ったのだった。
川も山もやるというSUさん。若いエネルギーを持て余してる感じが良かったね。
ナイSUガイだった。

SUさんのTwitterはこちら

パックラフト

SUさんのパックラフト。最近人気のnortik(ノルティック)だ。

パンッ!

SUさんを見送ってから朝食をとり、しばらくすると夏の強烈な日差しが河原を照らしだした。

もう少しゆっくりするつもりだったのだが、何しろ急に暑くなってきたので、早々に撤収することにした。

焚き火跡を綺麗に現状回復して、テントを畳んで・・・
という作業をしているとき、耳の端に「パンッ!」という音が聞こえたような気がした。
その時は、別に気にも留めなかったんだが・・・

撤収が完了して、パックラフトに空気を入れていざ出発だ!
と、シートを膨らまそうとして違和感を感じた。

息を吹き込んでも吹き込んでも、シートが膨らまないのだ。
なんと見事に、シートがパンクして溶接部分に穴が空いてるではないかーーーー(号泣)

あの時の「パンッ」はパンクした音だったのね・・・

シートの空気をうっかり抜き忘れたままにしてたため、熱い日差しを浴びて熱膨張でパンクしたのだ。
僕はいつも、パックラフトを河原に上げると空気を抜いて7〜8割になるように気をつけている。
熱膨張でパンクする危険性を知ってたから。

でも今回、パックラフトの空気抜きだけして、シートの空気抜きを忘れていたのだ!
今回も炸裂した、チキン脳。泣きたくなるわ、マジで。
これが、我がチキン脳の前例だ

で、パニックになった僕は、付属品のリペアキットで修復しようとしたのだが、焦るわ暑いわで、マジでパニック状態。
結局修復できないまま、「あかん、このままやったら熱中症になる」と諦め、テント泊で使ったマットを椅子がわりにして、出発することにしたのだ。

落ち込みまくってたので、この間に撮った写真は1枚もない。僕もまだまだだ。
おまけにドサクサでリペアキットも無くしてしまうというオチまでつけて。

癒しの赤木川

傷心のままスタートした52歳のオヤジ。椅子がわりのマットに座って漕ぎ出したのだが、あっという間に機嫌が治ってしまった。

だって、こんな綺麗な川を見るとね。

和田川2日目

和田川

野営地を出発して、少しの間和田川を下ると、小口川と赤木川の合流地点だ。
小口キャンプ場があるところで、キャンプ客たちが川で遊んでいた。

合流地点を左に向かうと赤木川になる。和田川と同様、ほんとに綺麗な川だ。
和田川よりも少し水量が増えて下りやすくなってくる。

赤木川

透き通っているせいで浅く見えるが、水深はそこそこある。

赤木川

川底にはくっきりと影が。

ということで、ホクホク顔で赤木川を楽しむ52歳オヤジ。
赤木川に優しく癒されて、すっかり上機嫌なのだ。

赤木川

赤木ブルーも健在!いつ来てもやっぱり最高の川だ。

赤木川

赤木ブルー

赤木川

赤木川をのんびり下って、お昼過ぎにゴール地点に到着。釣り師はこの日は4人だった。
しかしいつも書いてるけど、いい川にはいい釣り師がいる。
みなさん快く竿を上げてくれて、気持ちよく川下りができた。

ということで、52歳オヤジの夏休みはフィナーレを迎えたのだ。

最後に

やっぱりリバーツーリングに一番いい季節は夏だな、と思わせてくれた今回の川旅だった。
真夏の和田川・赤木川を下ったのは初めてだったが、泳いで潜って野営してと、最高の体験だった。

鮎釣りのシーズンでもあるので、どうやって釣り師さんたちと共存するかというのが、大きなテーマだけどね。

今年の夏はコロナのせいでいろんな行事が中止になり、逆に川に行くチャンスが増えたのは、喜んでいいのかどうか。

で、パンクしたシートはどうしたかって?
見事修復できて復活しましたよ!
アロンアルファとダクトテープで、一瞬直ったと思ったけどダメで、結局「アクアシール」で見事に修復できました。

人もシートも、パンパンになりすぎるとパンクするってことですわ。
ちょっとは余裕をもたせて、ゆる〜く生きないとね。

ということで、真夏の和田川・赤木川、川旅紀行でした。
次はどこに行こうっかな〜。

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